ハーブが好きなわけ【第2話】

漢方薬に惹かれて、またひとつ扉が開いた

──けれど、そこでも感じた “ちいさな違和感”──



病院や薬局での日々のなかで、私は少しずつ「自然に近いもの」に心が向くようになっていきました。


そんな時に出会ったのが、漢方薬でした。

西洋薬が“症状を止める薬”だとしたら、漢方はもっと、“人の体の底の方にある声”に耳を澄ませてくれるような薬。

 

植物の根っこや皮、種や実自然の命が、そのまま薬となっている姿に、私はどこか懐かしさを感じました。

 

薬学部のころから、生薬(しょうやく)に心惹かれていた私。

やっぱり私は、植物が好きなんだなぁ…と、しみじみ思ったものです。

 

けれど、そんな漢方薬にも、やがて別の「違和感」が顔を出し始めました。

 

それは、味と匂い。

確かに体にはやさしくて、自然の力が染み込んでいることも分かる。けれど、どうしても飲むたびに心がしぼんでしまうような…“美味しくない”という、ただそれだけのことに私は妙に敏感でした。

 

「薬なんだから、味は二の次でしょ」「効けばいいのよ」

そんな声も聞こえてきそうでしたが…

 

私は、どこかに“よろこび”のない薬に、少しずつストレスを感じていたのです。

 

なんでだろう。身体に良いものなら、もっと心も嬉しくなるはずなのに…

 

そう感じた私は、またひとつ、扉をノックすることになります。

 

つづく…

 

【次回予告】次回は、あるカフェで出会った1枚のミントの葉っぱ。そこから始まった、私とハーブの物語をお話しします。ふとしたひとときが、大きな転機になることもあるんですね。

0コメント

  • 1000 / 1000