ハーブが好きなわけ【第4話】


薬じゃない方法での、癒しとは

──“健康”の意味が変わっていった瞬間──


病院や薬局でのお仕事を通して、たくさんの薬にふれてきました。

 

西洋薬も、漢方薬も。それぞれにちゃんと理由があって、必要とされているのも、もちろんよくわかる。

 

でも、少しずつ感じていたんです。「あれ…?私はもっと、別のところにも目を向けたいのかもしれない」って。

 

そう思い始めたきっかけのひとつは、自分が漢方薬を飲んでみたときの体験でした。

 

効き目の深さには驚かされました。でも、味や香りに“うっ…”と構えてしまうようなストレスが残ってしまって。「せっかく体にいいことをしているのに、なんだか苦行みたい…?」そんなちいさなモヤモヤが、じわじわと積もっていったんです。

 

健康って、本当はどんな状態なんだろう?“よくなる”って、どういうことなんだろう?

 

その問いを持ち始めてから、私の中で、ハーブという存在がどんどん大きくなっていきました。


庭で育てているハーブにふれていると、香りにほっとしたり、手ざわりに癒されたり、五感を通じて、自分がほどけていくような感覚があって。

 

そのうちに、ふと気づいたんです。

「ああ、私は“治す”よりも、“整う”時間に惹かれていたんだ」と。

 

うまくいかない日もある。枯れてしまうこともある。

でも、そういうこともまるごと感じながら、

植物と一緒にいるだけで、私はその波動で少しずつ整っていく。

 

それって、薬では得られなかった感覚でした。

 

だから私は今、薬剤師という肩書きの外側で、植物とともにある時間を育てています。

  

つづく…

 

【次回予告】次回は、身近な人の看病や看取りの中で感じたこと。そして、今「ハーブの会」という形で私が届けたいものの種──そこへとつながる道のりをお話しします。

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