ハーブが好きなわけ【第5話】
ハーブと出会って思い出した、遠い記憶
── “誰かの笑顔”を思い浮かべながら、ハーブを摘む日々──
ハーブと過ごす時間が増えてくると、不思議なことに、だんだん言葉がいらなくなっていきました。
庭に出て、ハーブを眺め、香りを吸い込む。
葉を摘んで、ビーカーを手に少しだけ“何かつくってみる”。
そんなほんのひとときの中に、静かで、でも確かな「私らしさ」が立ちのぼってくるような感じがあるんです。
夢中で手を動かしているうちに、“ああ、これ、私が好きだった時間だ”って、ふっと思い出すような。
思えば、薬学部の頃から植物に惹かれていたけれど、今こうして“暮らしの中で植物と並んでいる”感覚は、あの頃とはまるで違って、もっと自由で、あたたかくて…
なぜか「昔もこういうことしてた気がする」そう思うことも、よくあります。
魔法使い?ハーブ遣いの魔女?メディスンウーマン?
そんな記憶のような妄想のような感覚がふと浮かんでは、笑ってしまう。
でも、それくらい、ハーブと向き合っている時の自分は、どこか”奥の奥にある記憶”とつながっているような気がするのです。
そうして自然と湧いてくるのが、「これ、誰かと一緒にできたらな」という気持ち。
ハーブのエネルギーに触れると、自分の中にある“何かを分かち合いたい”という気持ちが、そっと顔を出すんです。
だから私は、「Blessing Herb Days」という場をひらくことにしました。
これは講座ではなく、イベントでもない、“日々の中にハーブがそっと寄り添ってくれる時間”のような会。
植物のエネルギーと仲よくなっていくうちに、
本来の自分の感覚や、まだ言葉になっていない“なにか”と再会するかもしれません。
この会で大切にしたいのは、ハーブの香りや色、かたちを「味わう」こと。
そして、その豊かさを誰かと一緒に感じる喜び。
知識や正解ではなく、感じたこと、わいてきた思い、それを持ち寄れる場所。
ハーブに触れて、自分の内側がふわっとやさしくなるような、
そんな時間を味わったとき、そのあたたかさは自然とまわりにも広がっていきます。
それがもうすでに、祝福の循環のはじまりなんだと思います。
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